ある日の旅行中
宿泊先のホテルで、わたしの不注意から息子(1歳)が顔に切り傷をつくるという悲劇に見舞われました。
ベッドで飛び跳ねて遊んでた拍子で、ベッドの角に目の上をぶつけてしまったのです。
血もいっぱい出たし
叫び声に近い泣き声は今でも忘れません。
痛かったよね・・・。
三か月が経過した今、
出血も痛みもすっかり治まって日々笑顔を見せてくれる息子ですが、
その時できた傷は、今もくっきり痕になって残っています。
傷痕を見るたび胸が痛む
あのとき、目を離してなければ
あのとき、もっと気を向けていれば
危ないよと注意していれば、手を掴んでいれば、
ホテルがベッドでなく和室だったら、旅行に行かなかったら、
息子は痛い思いをしないで済んだし、顔に傷を残すこともなかったのに・・・
息子が目を閉じたとき、眠ってるとき
はっきりと主張してくる傷痕にわたしのタラレバ後悔が止まりません。
きっともう消えることのない傷を見ると、しくしくと胸が痛むのです。
見える傷、見えない傷
わたしの不注意でできてしまった息子の瞼の傷幼稚園で転んでできた娘の膝小僧のすり傷
水いぼの除去後、虫刺されの痕
傷一つ一つにエピソードがあり、気を揉まされ、悩ませたりしながら子どもの成長を見守ります。
絆創膏を貼ったり、クスリを塗ったり、病院にいったり
我が子が傷を負ったとき、これからもわたしはできる限りの治療をしてあげるでしょう。
こうして手を触れ、気を向けながら寄り添えるのはいつまでだろう。
誰かの心無い言葉に傷ついたり
好きな人にフラれたり
とんでもない挫折や失敗を経験する時期を迎える日もやってきます。
これから成長していく過程で誰もが経験するそれは、わたしたち親が直接治療してやれません。
傷一つ一つにエピソードがあり、時間をかけて自分で乗り越えることで人生がより煌めくことをわたしたちは知っています。
見える傷、見えない傷を手当しよう
治療する
支える
見守る
考える
これから我が子に待ち受けるのは必ずしも楽しいことばかりではありません。
派手に転んだり、地味に傷つく経験をいくつもこなしていくことでしょう。
我が子を傷つけるのはせめてもわたしだけであってほしい
そしたら反省も修復も治療も一身に請負い、一生をかけて守っていくのに・・・。
そういう気持ちとは裏腹に、
親が介入できない紛争は毎日のように子どもに降りかかります。
成長するにつれて体感する傷は
いずれ目の届かない場所で起こるようになり、子自身が隠すようになり、
そしてわたしの知らぬ間に解決していくような課題の連続です。
子どもの将来のために親ができること。
いずれ目も気も行き届かなくなるその前に、
わたしは、時に手をかけ、時に手を離しながら、我が子の成長をサポートしていきたいです。
おわりに
息子の瞼をなでながら、次女の乾燥した肌にクリームを塗りながら、
学校ではじめての女子っぽい喧嘩、自分の思いを打ち明ける長女の話を聞きながら、
わたしは、傷を知れる今が、どれだけ幸せなことかを実感しています。
上手な転び方
割り切り方
無視する能力
人生の技を得るためにこれから人知れず自分で体感する痛みがあるのも知っているから。
見える傷、見えない傷を手当しよう
子どもの成長が楽しみでもさみしくもある今日この頃です。