娘「ヒントは?答えはなに?」
宿題は問題を読んだ次の瞬間に、ヒントや答えを欲しがります。
わたし「体育着もった?帽子もった?」
出発前の持ち物点検はいつものこと
毎日花丸が描かれた宿題と
用意周到なランドセルを背負い、今日も元気に小学校へと登校します。
今日も我が家は平常運転
わたしは娘のためにできることを常に考え、
自分にできる最善の策を用意してきた・・・つもりでした。
失敗するのが怖い!娘が石になった日
「探検バッグを忘れた」
学校の玄関に着くや否や、長女(6歳)が言いました。
わたし「え?でもがんばりノート(連絡帳)には何も書いてなかったじゃん」
娘「違うの!ノートに書くんじゃなくて、先生が持ってきてね!って言ってたの!」
わたし「でも、ママもこれから仕事だし。今日はもう無理だよ。先生に素直に忘れたって言ったらいいよ」
娘「嫌だ!絶対そんなのイヤだ!ママ持ってきて!じゃないと学校に行かない!!!」
初めての忘れ物を前に、娘は石になりました。
何をいってもビクとも動いてくれません。
思えば、
宿題でわからないことがあると、自分で考えもせずにヒントを出すまで机に突っ伏すこともよくありました。
いろんなスポーツにチャレンジする体育の時間でも、得意の鉄棒だけをひたすらこなし、先生が促してもお友達が誘っても苦手なフラフープや竹馬には挑戦することなく授業を終えたこともあります。
・間違うのが怖い
・できないのが怖い
・失敗するのが怖い
娘は、自分の「できない」に直面するたび、身と心が石のように固まってしまうのです。
我が子に成功体験を与えよう!ずっとそう思ってた
・できたを刺激する・褒めて育てる
・達成感を存分に味わって自分に自信をつけてほしい
親であるわたしは、娘の「できた!」を見つけてはいつも歓喜し、褒め続けてきました。
「難しい」そう思えることには、時に手を貸し、時に背中を押しサポートしてきたつもりです。
子どもにはたくさんの成功体験を与えることが必要!
わたしはずっとそう思ってきました。
走り出す娘に「危ないよ」と声をかけ、転びそうになると手を引いて、擦りむいた膝小僧は綺麗に洗い絆創膏を貼りつけます。
それが親の務めだと思っていたから・・・・。
子どもに失敗体験を与えよう!成功への近道
前出したとおり、親であるがゆえに成功体験を与えるのは案外簡単です。
でも今、わたしと娘の関係を振り返るとどうでしょう?
娘は、宿題にすぐに音を上げるし、たった一つの忘れ物に人類滅亡のような顔をして石化しています。
成功を繰り返して育った娘は、「未体験」にすっかり臆病になってしまいました。
わたしはそこでもう一つの課題を見つけます。
安全な失敗体験を与えよう
・間違ってもいい
・失敗してもいい
・どうせ死ぬわけでもなんでもない
そこから見つかる手がかりこそが成功への一番の近道・秘訣なのです。
失敗して大人になったわたしの幼少期
〇雨降りの後の道のぬかるみで、足を滑らせてつく尻もちの痛さ
〇ジャージ登校の日に一人だけ制服で登校したときの恥ずかしさ
〇賞にもう一歩のところで手に届かなかったときの悔しさ
〇いじめっ子になったり、いじめられっ子になったりしたときの重苦しい気持ち
ふと自分自身の体験を振り返ったときに、思い出したくもない失敗経験がいくつもあることが分かります。
怪我をしないように周りを観察することも
人の話をよく聞き、自分で確認する重要性もそこで学んできました。
もう一歩で届かなかったことには次に二歩三歩先を目指せばいい。
努力すること、追求することを悔しさから得とくしてきました。
いじめられた経験は人の気持ちを知るきっかけとなり、
いじめた経験は自分の弱さに直面する瞬間でもあります。
失敗を繰り返してわたしは大人になりました。
そしてそこで得た感情や精神こそ、今、自分の子供に気づいてほしい学んでほしいことの真髄であることに気が付いたのです。
安全な失敗をさせよう。
宿題は分からなければ空けたままでもいい。
間違ったままでいい。花丸じゃなくてもいい。
一度や二度の忘れ物くらいどうってことないのよ。
そのとき感じた気持ちを忘れなければ・・・
わたしは手を引き、背中を押してサポートし続けた子育てから、あえて手を離し背中を見守る子育てにスイッチすることにしました。
走って転んで擦りむけた膝小僧から、この子自身が気づきを得るその日まで
仕事を終え、学童から迎えた娘は
朝の不機嫌はどこへやら、
真っ先にわたしに駆け寄ってこういいます。
娘「自分でノートに明日の時間割り書いてきた!!」
あしたのもちもの たいくぎ
つたない字で書かれたそれは、娘が忘れ物をした今日の出来事から何かを学んできた証拠でした。
おわりに
安全な失敗体験は子どもに気づきを与え、学びに変えます。皮肉にもそれは、親が用意した成功体験よりも、遥かに大きい伸びしろを携えることになるでしょう。
過保護じゃない
放任ともちょっと違う
安全な失敗体験を与えよう!
娘とわたしの成長はたった今始まったばかりです。